イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領当選、日本の民主党政権擁立…、マスコミ報道や雰囲気に呑まれて、あまり深く考えもせずなんとなく「感触がいい」からという判断で政治や経済を委ねてしまう、あるいはそういう市民層を意識してあえて分かりやすい行動をとる支配者層…
俺は、この本のタイトルとなっている言葉の意味を、なんとなく漠然とそういう風にとらえていたのだが、その解釈は間違っていた。
少なくともこの言葉が生まれたアメリカでは「反知性主義」とは「知性」と対立するものではなく、「知性主義」と対立するものだということ。そして、そこにはアメリカ合衆国誕生から深く根ざすキリスト教が大きく影響していたのだということ。なるほどなぁと目から鱗。
反知性主義とは知性と権力の固定的な結びつきに対する反感。これが結論なんだが、その反知性主義が成立していく過程をアメリカ宗教(キリスト教)史を通じて分かりやすく書かれていて良い。勿論、宗教史以外から反知性主義を読み解く方法もあるんだろうが、今のところ、俺の中ではこの本の影響大である。
ただ、日本の「反知性」は困ったもので、「分かりにくい真実より理解しやすい風評」みたいなもっと安易なとこがあるよなぁ。「あの人とは血液型が合わないから付き合わんとき」とか「水素水呑んだら肌ツヤが良くなるで」とか、自分で信じるのは勝手やけど、そういう安易な風評を人に圧しつける風潮、なんとかならんかなぁ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年9月3日
- 読了日 : 2017年8月31日
- 本棚登録日 : 2017年8月24日
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