「田辺聖子の小倉百人一首」(田辺聖子)を読んだ。 印象深い文章に出会った。 『民族の心の暗渠を流れつづける愛着』(本文より) 蓋し名言である。 いろいろな意味で気になる歌を一首だけ引く。 ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ いまは恋しき(藤原清輔朝臣) <生きながらえていたら またこの頃がなつかしくなるんだろうか 辛いこと いやなことの多い この頃なのにさ ──辛いこと多かった 昔の あの時代が いまは なつかしいんだものな> 今のこの先行き不透明で息が詰まるきな臭い世の中ですら、後になって振り返ればあの頃はまだましだったんだよな、なんてことにだけはなってほしくないのだが。
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- 感想投稿日 : 2022年12月29日
- 読了日 : 2022年12月29日
- 本棚登録日 : 2022年12月29日
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