田辺聖子の小倉百人一首 (角川文庫 た 5-24)

著者 :
  • KADOKAWA (1991年12月6日発売)
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感想 : 40
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「田辺聖子の小倉百人一首」(田辺聖子)を読んだ。
印象深い文章に出会った。
『民族の心の暗渠を流れつづける愛着』(本文より)
蓋し名言である。
いろいろな意味で気になる歌を一首だけ引く。
ながらへば またこのごろや しのばれむ 憂しと見し世ぞ いまは恋しき(藤原清輔朝臣)
<生きながらえていたら   
またこの頃がなつかしくなるんだろうか   
辛いこと いやなことの多い   
この頃なのにさ    
──辛いこと多かった 昔の    
  あの時代が    
 いまは なつかしいんだものな>
今のこの先行き不透明で息が詰まるきな臭い世の中ですら、後になって振り返ればあの頃はまだましだったんだよな、なんてことにだけはなってほしくないのだが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2022年12月29日
読了日 : 2022年12月29日
本棚登録日 : 2022年12月29日

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