「名誉と恍惚」(松浦寿輝)を読んだ。
上海の共同租界行政府である工部局の警察官芹沢の半世紀に及ぶ人生の軌跡と辿り着いた場所での充溢した魂の咆哮。
760頁の傑作長編。
これはまさにハードボイルドだわ。
『深い、強い、痛切な喪失感。取り返しのつかない何かを失い、その悲嘆を耐え、耐えることに疲労しきっている……。疲労の果てに悲嘆が徐々に諦念へと収まりかけ、しかしまだ収まりきれずにいる……。』(本文より)
上海の裏世界の支配者の第三夫人美雨(メイユ)を1ページにわたって描写するその文章に震える。
読んでいる間私はずっと、チャンドラーがこの世に生み出したフィリップ・マーロウという男のことを頭の隅で思っていた。(彼の物語とはなんの共通項も無いのだが)
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年1月8日
- 読了日 : 2024年1月8日
- 本棚登録日 : 2024年1月8日
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