再々読?たぶん、3回目か4回目。
和歌はあんまり技巧的ではないから修辞法の勉強には物足りない。「よ」が「世」と「節」の掛詞になってる歌、あとは縁語があるくらい。紫式部の、非技巧派という和泉式部評は正しいと言えそう。
けれど、贈答歌のお手本としてこれ以上はないかもしれないテキスト。ただし、『蜻蛉日記』の泥試合を読んだ後だからそう思うのかも。
そして、実った後の出来事は書かない、という、恋愛小説のお手本を確立した作品(だと勝手に思っている)。
紫式部の創作時期と考え合わせると、和泉式部の恋模様は『源氏物語』にけっこう影響を与えているんじゃないかなぁと思った。
①身分差
②男が親王
③男が美形
④兄弟2人
④を除けば、まんま光源氏の設定。
日記が書かれる前から随分と噂になっている関係だったみたいだから、影響はゼロではないかもしれない。その噂も決して好意的なものではなかったようで、その辺りは桐壺にも通じる。
まぁ、狭い世界の出来事だからどこかで何かは絡み合っているのだろうけれど、紫式部日記で叩いてる相手が実は創作の源泉、だったりしたら、ますます紫式部の腹黒さがわかって面白いなと思う。
にしても気になるのは、和泉式部が宮邸に引っ越した後、小式部がどうなったのかということや、元の屋敷で使っていた家人をどう差配したんだろうというところ。
情熱って、ある意味、ファンタジーだから、現実を生きている人たちをものすごーく振り回す。そっち側から書かれた小説を読んでみたい今日この頃。
まさか、夜の闇に紛れて盗人になってたりしないよね??
- 感想投稿日 : 2021年8月14日
- 読了日 : 2021年8月14日
- 本棚登録日 : 2021年8月14日
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