パンツが見える。: 羞恥心の現代史 (朝日選書 700)

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2002年5月1日発売)
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本棚登録 : 263
感想 : 35
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長らく和装の生活を送ってきた女性たち。
急に洋装が取り入れられてもパンツがはかれるようになるまでは、
時間がかかった。「パンツ」普及に至るまでの時代の流れと、
感性の変化を多くの資料から考察し、語る。
1 白木屋ズロース伝説は、こうしてつくられた
2 パンツをはかなかったころの女たち
3 ズロースがきらわれたのは、どうしてか
4 「みだら」な女も、はいていた
5 パンチラをよろこぶ感情が、めばえるまで
6 ズロースからパンティへ
7 くろうと筋からの風俗史
8 一九五〇年代パンチラ革命説
主要参考文献有り。

白木屋ズロース伝説の真相の検証から始まる女性の「パンツ」考。
洋装が取り入れられても、多くがパンツをはかなかった理由。
当時の本、雑誌や新聞の記事等を検証、考察し、語りに語る。
考えてみれば、そもそも和装の歴史が長い日本では、
女性には下穿きが無く、アソコを隠さない日常があった。
その後、洋装が取り入れられるにつれ、
パンツ、ズロース、さるまた、ももひきをはく女性もいたが、
それは学業や職業のためで、依然多くははかなかった。
ズロースと、和装の美観維持の相反。
パンツは窮屈、はき心地が悪い。だが、
洋装の広がりと布地や縫製の向上もあって、20世紀半ばから
パンツが広まる。ミニスカートの登場はズロースからパンティーへ。
そして男性にパンチラを喜ぶ感情が、
女性にはパンツが見えるのに羞恥心が生まれたという・・・。
隠されたら見たくなるってことか~。
多少くどいけれど面白真面目で、楽しめました。
特に、多くの文芸作品や論評を取り上げ、検証し、
或いは反駁するのが小気味よくて、面白かったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本文化
感想投稿日 : 2022年11月23日
読了日 : 2022年11月23日
本棚登録日 : 2022年10月26日

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