はじまりの空 日本橋牡丹堂 菓子ばなし(六) (光文社文庫 な 43-7 光文社時代小説文庫 日本橋牡丹堂菓子ばなし)

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  • 光文社 (2020年7月8日発売)
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18歳になった小萩は「菓子調整処小萩庵」の看板を貰った。
牡丹堂や縁のある人々に支えられ、自分の菓子に取り組む。
書けない戯作者は春しなむ・・・戯作者が台本を書く気にさせる
    菓子の依頼。西行?差し伸べられたのは、菓子の縁。
猫が運んだ福つぐみ・・・猫がいなくなって気落ちしている女性に
    菓子を届けた小萩だったが・・・。菓子のご縁、猫のご縁。
父と娘の蓬莱山・・・男性向けの菓子の依頼が入る。
    見世を出したお景からは粋な男が手に取る菓子。
    薬種屋の娘からは父に贈る菓子。そしてもう一つ・・・。
珈琲に合う金色羹・・・牡丹堂への山野辺藩の依頼は珈琲に合う菓子。
  薬種屋の禄兵衛との縁、帰ってきた鷹一との縁が味を添える。
小萩と牡丹堂での出来事の連作短編です。季節は夏。
小萩庵で注文の菓子を考案し始めた、小萩。そして、
牡丹堂で新しく働き始めた清吉の様子が中心になっています。
素直で一生懸命だが、何か事情がありそうな理由が、徐々に
明らかになってきます。悲しい過去とパワハラ、トラウマ・・・。
でも牡丹堂の面々の一致団結な温かさ。ここで働けて良かったぁ。
あの勝代のブラック企業な経営ぶりもわかってきました。
が、どうも彼女周辺も気になる動きが・・・こちらがどうなるかも、
気になるところです。
そして、弥兵衛の、薬種屋の禄兵衛の、思い出話と娘への
父親の気持ち、商売への志の語りは、しっとりとして良かったです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 文学(日本)
感想投稿日 : 2020年12月15日
読了日 : 2020年12月15日
本棚登録日 : 2020年12月9日

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