食堂のおばちゃんシリーズ8冊目。
姑の一子と嫁の二三が切り盛りする、はじめ食堂。
婚活の話題から始まる人間模様。これは縁?そして別れも。
第一話 菜の花と婚活・・・節分の夜の話題は婚活。康平も瑠美も
40代の独身。その翌日、康平の両親が代理婚活の会に入会。
第二話 牡蠣よ、さらば!・・・雛祭り。康平の婚活の相手は
33歳のOL。両親は乗り気だが康平は?瑠美の表情も気になる。
第三話 いつも心に豆ご飯・・・瑠美の土産のうすいえんどうで、
花の豆祭り。志音が店への不満で揉め事を起こすが万里は・・・。
第四話 椿油で縁結び・・・6月は店の慰安旅行で熱海・伊東へ。
パワースポットでの参拝でおみくじを引き、思うのは、
食堂での小さな幸せを大切に育てて守ってゆくこと。
第五話 あなたとオムライス・・・オムライスを食べて心に浮かぶ
情景は、あの時も食べた過去の想い出。そして彼は旅立つ。
<巻末>食堂のおばちゃんのワンポイントアドバイス・・・レシピ。
優しい心遣いが味付けになる大衆食堂での、人情話短編集。
年を重ねるにつれて脳裏を過ぎるのは、過去の情景や想い出。
そして人生の終焉。康平の将来を心配して、両親が代理婚活の
会に入会したのも、自分たちの老い先を考えてのことです。
実際に、第五話ではレギュラーメンバーの常連、後藤が
亡くなりました。どうにもならない運命。
だけど、遠くならないうちにまた会えるという山手の言葉に、
心を打たれました。山手も70代。思えば一子は高齢だし、
二三も還暦を過ぎ、登場人物たちも年を重ねてきました。
新型コロナウイルスが物語の中にも影響する、令和2年。
自粛生活や休業要請の波が登場人物たちにも降りかかる日々。
常連たちの支えで乗り越えましたが、はじめ食堂のこれからは、
どうなってゆくのか?康平と瑠美の関係も含め、気になるところ。
日本酒の情報がたっぷりあったのも、楽しかったです。
- 感想投稿日 : 2022年12月6日
- 読了日 : 2022年12月6日
- 本棚登録日 : 2022年11月23日
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