岸信介の評伝である。評伝というと、生い立ちから始める本が多いが、あれは本題に入る前に疲れてしまうことがある。安保闘争から始まり、過去に遡ったり現代にもどったりとする本書の書き方は読み手に緊張感を与える。うまい。今考えると、1960年の安保条約改定は明らかに不平等条約を改定である。だから、どうしてあれだけの人が立ち上がり反対し、死者まで出したのか。今考えると不思議である。それにしても、岸信介という人は悪運の強い人である。いつも、なにかに誰かに助けられる。だから、「醜聞」は本書からはあまり感じられない。岸さんが女性好きだったという話が何カ所かに出てくるが、これも昔の政治家では当たり前で、醜聞とはいえない。もう少し醜聞を書いてほしかったと思う。
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- 感想投稿日 : 2019年10月26日
- 本棚登録日 : 2019年10月26日
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