ちくま日本文学005 幸田文 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房 (2007年11月20日発売)
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本棚登録 : 182
感想 : 15
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圧巻は『みそっかす』
心映えも良く聡明だった姉歌子とやんちゃで愛された弟の間に挟まれて、満たされぬ思いを抱えながら成長していく文(あや)。

往時の自分と家族を、成長した大人の目で見直しつつ綴られているので、内容が深いのだろう。

父露伴の言葉の深さはもちろんだが、父方の親族の佇まいもそれぞれ端正である。義母と父の不和はつらかったにちがいなかろうが、まだ何者でもない若い文(あや)が、義母の悲しみをもしっかり受けとめているところなど、さすがである。

枠にはまりきれない彼女を「将来楽しみ」と語ったという2人の恩師のエピソードがよかった。



作成日時 2008年02月23日 14:56

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2008年5月11日
読了日 : 2008年5月11日
本棚登録日 : 2008年5月11日

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