「学力」の経済学

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015年6月18日発売)
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「科学的根拠に基づく教育政策をとるべき」というスタンスの著者が、個人の体験談ではなく、エビデンスを基に、教育について語った本。
以下、印象に残った箇所。

◆褒め方
・ご褒美を何に対して与えるか
 ×アウトプット(テストの点数など)
 ○インプット(本を読む、宿題をするなど)
  →まず、勉強の仕方を教えるのが大事

・ご褒美の内容
 ○やる気を刺激するもの(トロフィーなど)
 ×お金

・悪い成績の場合
 →自尊心を高めるような介入を行わないこと
  …悪い成績という事実を反省する機会を奪う
   自分に対して根拠のない自信を持つ
 →自尊心は結果にしか過ぎない

・言葉のかけ方
 →元々の能力(頭のよさ)をほめてはいけない
  …意欲を失い、成績が低下する

・具体的に子どもが達成した内容を褒める
 ×あなたはやればできるのよ
  →成果が出ない時に嘘をつくようになる
 ○今日は1時間も勉強できたんだね
 ○今月は遅刻や欠席が一度もなかったね

◆親子間での影響
・性別
 →同性の関わりが大切(特に苦手科目)
・「勉強するように言う」のは逆効果
 →親の時間を犠牲にする方法は効果あり
  …勉強を見る、勉強時間を決めて守らせる

◆周囲の影響(ピア・エフェクト)
・同性同士の教師と生徒の方が効果がある
・習熟度別学級
 →全体の学力を押し上げるのに有効な政策
・学力の高い優秀な友人の影響
 →学力の高かった子どものみ、+の影響
 →学力が低かった子どもには、−の影響

◆非認知能力
・投資対効果が高い時期
 →子どもが小学校に入学する前(就学前教育)
・特に大事な非認知能力
 →自制心とやり抜く力
・サービスラーニング
 →教室で学んだことを地域社会で問題解決のために生かすような教育

◆教員の影響
・子どもの学力は、さまざまな要因が影響する
 …遺伝や家庭の資源など
  →中3の学力の35%は遺伝
  →学力と雇用の7割は遺伝と家庭環境
   (親の学力による学習時間の格差の拡がり)
 …教員や指導法、教材だけではない
  →能力の高い教員は、子どもの遺伝や家庭の資源の不利すらも帳消しにする

・教員免許の有無が学力に与える影響は小さい
 →教員免許を持つ教員同士の質の差はかなりある

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年8月19日
読了日 : 2020年8月16日
本棚登録日 : 2020年8月16日

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