日本画とは何だったのか 近代日本画史論 (角川選書 596)

著者 :
  • KADOKAWA (2018年1月26日発売)
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感想 : 3
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近代日本画とは何か。それは簡単に定義できるものではないということを、この本を通して理解する。明治時代から戦後まで、各時代ごとに章を分けて、代表的な日本画家を取り上げながら日本画が何かということを説明している。それぞれの画家の作風を眺めていると、この絵のこの部分が日本画らしい、という唯一の特徴は見られず、わずか数十年の間に大きな変化がみられるのが面白い。
特に最終章が面白かった。明治維新後、日本が一つの近代国家として進みはじめた過程で生まれた日本画は自然発生的に生まれた作風ではなく、人々によって育てられた温室絵画であるという考えは興味深い。それは言われてみれば当然のことではあるが、「日本らしさ」というのはこうして人によって肉付けされていくものなのであるということは忘れがちである。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2018年9月6日
読了日 : 2018年9月6日
本棚登録日 : 2018年7月3日

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