資本主義だけ残った――世界を制するシステムの未来

制作 : 梶谷懐 
  • みすず書房 (2021年6月18日発売)
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人種、生い立ち、信念や動機が異なっても、
お金や利益の話となれば、すんなりと理解する。

リベラルな能力主義的資本主義:欧米
政治的(権威主義的)資本主義:中国

リベラル資本主義
 人的資本の高い労働金持ち=資本金持ち
  同類婚が不平等を強化
  アメリカの裕福な10%が金融資産の90%を保有
  長期収益の資産を多く所有、税金比率が少、参入手数料と管理コストが低い

資本とスキルの平等を授ける資本主義は可能か?
 労働組合、大衆教育、税金、政府による所得の移転(年金や福祉)が行き詰り
 →中間層を優遇、労働者の資本保有(持ち株会)、相続税、公立教育   
現実は、
 福祉国家にスキルの低い移民が集まる →政府サービスからの金持ちの撤退
 超富裕層からの政治献金 →優位性の保証
 高額な私立教育が優位に 高い授業料で最良の教授を集める →公教育離れ
 →技術進歩が続く限り、富や教育に基づく部外者に開かれた世界

共産主義
 封建制から資本主義への移行システムが共産主義
  地主の締め付け、外国による支配を覆す
  貧しい国は市場のインセンティブが欠如し 中央計画の利点から恩恵を受ける

中国=資本主義
 国政企業20%(1998年は50%)
 資本主義=民間の生産手段+賃金労働者+生産や価格設定の決断が分散化

 鄧小平 鳥を広々としたかごに入れておく
 資本家の利害が支配的な力を持つことを許さず、政策に従い民間を統制
 法ではなく、恣意的な意思決定 無法地帯が組み込まれたシステムという矛盾
 不平等の全国拡大 たたき上げの資本家階級の台頭

政治的資本主義の特徴
 1.優秀な官僚 2.法の支配の欠如 3.国家の自立性 
2つの矛盾
 1.官僚の管理能力と自由裁量 2.法支配の欠如による腐敗とシステム正当化
 政治を経済と切り離し、腐敗の少ない政権を維持できそうな国はほとんどない?

グローバリゼーション=資産の移動+労働の移動
 市民権の市場取引  ギリシャ 25万ユーロ、イギリス 200万ポンド
 
第二のグローバリゼーション 生産の移動 ・・制度の重要性 技術の移転
第三の・・・              ・・労働の移動からの解放? 

原子化と商品化 モノやサービス何でも買える 自分の時間も含め何でも売れる
 自身が経済媒体=商品に

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治
感想投稿日 : 2021年10月10日
読了日 : 2021年10月12日
本棚登録日 : 2021年9月26日

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