スナックさいばら おんなのけものみち バックレ人生大炎上篇

著者 :
制作 : デ:角川書店装丁室國枝達也 
  • 角川書店 (2013年5月1日発売)
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本棚登録 : 272
感想 : 39
4

人に悩みを相談したり、心の中を打ち明けるのが苦手です。
人を頼るのが苦手で、素直じゃないし、プライドがジャマしているのかもしれない。
だけどいっつも切実に心の内を訴えても最後にはその人の意見を聞いてるという形になってしまう。
すごく正しい事を言っているというのは分かるけど心には響かない。
「この人、今こういう事を言って気持ちいいんだろうな~」とひねくれてしまう。
そして、そんな自分が嫌になる。
言うんじゃなかった!
自分がこんなだからこういう態度をとられるんだよね、と自己嫌悪。
結局、人に言う前よりも落ち込む。
そんな事が今まで数限りなくあった。
それでも今年に入ってからあまりについてない事ばかりが続いて心につらい思いがたまっていたせいでついポロッと言ってしまった。
やはり結果は同じ。
もう2度と自分の心の本音は人に言うもんか!と思った。

この本は作者の西原さんがお題を出してそれに投稿された体験談を聞いてコメントしたものを文章にしたもの。
今回のお題は恋愛、おひとり様について、仕事、友達、成り上がりについて。
それらに自分の体験談を交えながら「ふん。ふん」と聞きつつ、アドバイスしている。

読んでいて、この人になら心の内を話してもいいんじゃないか、いや、話たいな・・・と思えた。
何故ならどの体験談に対しても作者の西原さんは最初に否定してないから。
まず、「つらかったよね」「がんばったよね」とねぎらっている。
そして、最後の最後に自分の言いたい事を言っている。
時には「バカ!」なんて事も言ってる。
でもこの人にならバカ!って言われたいよ。
そんな風に見てて思った。

結局、相談する人や悩みを打ち明ける人って、相談相手から答えが欲しい訳じゃないんだと思う。
今の自分の気持ちを聞いてほしい、ただただ受け止めて欲しい。
ただ、肯いて聞いてくれるだけでいい。
そっちの方が強い。
それなのに正しい事だけ言われて「こうしたらいいんじゃないの?」と言われると傷ついてしまう。
向こうが正しいと思えるだけに余計・・・。

そういうのが西原さんは分かってるんだなぁ・・・とこの本を読むと思う。
言葉遣いとか、書いてる過激さとか、そんな事はチャラになるくらい作者の言葉は真実みがあってやさしい。
それでいてユーモアがある。
ただ、笑ってみるというだけでもいい本だし、その時は何とも思わなくても後からきいてくる言葉だったりするかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 生きるヒントをくれる本
感想投稿日 : 2013年8月30日
読了日 : 2013年8月30日
本棚登録日 : 2013年8月30日

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