フーコー講義 (河出ブックス)

著者 :
  • 河出書房新社 (2010年12月11日発売)
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現代思想、ポストモダンと言われるようなところはぐちゃぐちゃすぎてどこから入ればいいのかよくわからなかったが、フーコーから入ることにきめた。背伸びして本人の本を読む前にこういうガイド本を読むと、理解へのモチベーションが上がる。とても読みやすい。
いったい自分はいつから自分を異常者と疑うことがなくなったんだろうか。異常である事がまるで正常であるという確信を持ったときからある種の排除を行えるようになったのかもしれない。コレージュドフランスの講義録をよみたい。自己の弱さを受け入れることで、逆に強くなれる....ということの助けになりそうな予感。


メモ

相対主義〜歴史性

構造主義...絶対的だった近代西欧的価値観”理性”を相対化
しかし、相対化こそ理性のなせる技かもしれないというパラドクス。

フーコーは近代主義を批判していたが、それは近代とは何かを明らかにし、そこで自分たちが未だなおそこから抜け出せていない地盤とはなにかを明確にするための措置。

”どの一元主義からは抜け出せていないか”

エリートとマイノリティ思考は両立するのか?

エピステモロジーとの関わり。(カンギレム)

『監獄の誕生』
College de France 講義

・思想区分と方法論

①60s 近代の中で人間が形成されてきた場面を百科事典のようにあぶり出す。「人間の考古学」
「言語」「言説」が備えている「排除」および「規範性=正常」(この時期が構造主義的)

二項対立的な分類によって人間の成立と消滅を淡々と述べる。

②70s 「人間の系譜期」:人間という対象を形成する力(=政治的文脈では権力)の働きそのものに光が当てられる。
『監獄の誕生』『性の歴史Ⅱ)
「規律権力」「生権力」:アノーマルな存在を露呈させながら、そこから「正常」な存在者である「近代人」が構成される力学を探る。
!!「言語」から「生命」に主軸を移している。!!(特に性の歴史において)
言語からは正常と異常を切り分けるところの、その結果しか得られない。この時期はそれを可能にする”力”を探る。(分類化を成立させる力学☆)
方法論(系譜学)〜ニーチェの述語を前提としている

言語:切り分けるものである限り、否定的=排除的、異常は正常から排除されるマージナル
生命:発生する力とその働きそのものを示すがゆえ、肯定的=生産的、すべてが等しくアノーマル
(両者は完全に対立するものではない)
生命の力の領域では何も排除されないし、何も抑圧されない。生の権力=力の権力ではそれが際立つ。

ドゥルーズ、ガタリと共鳴。
フーコーの権力概念はそのネットワーク的生産的特徴から、ドゥルーズ、ガタリが利用したリゾームの概念に関連する部分がある。

「人間」が解体される事の意義、考古学的思考は終わり、
「いかにして人間は産出されたか」「そして産出されなくなるか」という事の方に議論の軸は移っている。

③70−80s
「統治性」「自己論」

『性の歴史』における「生政治」、『性の歴史Ⅲ』
コレージュドフランス「安全・領土・人口」「主体の解釈学」


狂人である可能性が人間である事を支えるようになってくる。

知の形成を支える動的位相としての(被覆?)権力。
人間の二義性、二重性

自己分裂の回避
ヘーゲル「精神現象学」フーコー「主体の解釈学」「自己と他者の統治」
”真実を語ることが自分自身によってしか保証されない”

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: philosophy
感想投稿日 : 2014年7月1日
読了日 : 2014年7月1日
本棚登録日 : 2014年7月1日

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