5人の女性の猟師を紹介した本。密着型というか、一緒に猟について行き、しとめた獲物を解体するところから、ともに猟をする仲間と一緒に食べたりするところまで、本人たちの言葉を交えながら紹介する。5人の経歴や、猟師になってからの期間、また長野、石川、兵庫、大分と、猟のスタイル、獲物、などはそれぞれ。
この本が避けて通れないのは、なぜ「わざわざ」猟をして動物を殺して食べなければならないのか、というテーマ。しかし、我々が普段スーパーで買って食べている肉は、単に他人がどこか目に見えないところで処理してくれているだけで、それを自らやっている人やその行為を批判する人の気が知れない。むしろ、この本に書かれているように、自分の手で奪った命を想い、大切に処理している彼らの方がよっぽど命に対して礼を尽くしており、切り身になった肉に対して普段何も特段のことを感じてない(はずだ)我々の方がそういう意味ではよっぽど命に対して傲慢だと思う。
農村地帯の過疎化が進み、山里に人の手が入らなくなるにつれ、また温暖化も影響しているかも知れないが、鹿、猪、猿、などの数は爆発的に増えているんだろう。ちょっと地方に行って道の駅に寄れば、鹿肉や猪肉の加工品を目にする機会が多い。ジビエ肉が東京のスーパーなどへもだんだんと流通するようになって、普段の食卓にもちょいちょい登場するような日がそのうち来るかも。政策主導の地方活性化に大きく期待はしていないが、都会に出てくるばかりが能ではないと地方を目指す若者もじわじわと増えていると思う。農業をするなら、獣害は必ず関わってくる問題。農村をどうするか全体の問題として考えていかなければならないはず。
- 感想投稿日 : 2017年4月28日
- 読了日 : 2016年2月15日
- 本棚登録日 : 2017年4月28日
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