この胸に深々と突き刺さる矢を抜け 上 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2011年12月15日発売)
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本棚登録 : 1061
感想 : 85

「あなたは頭もいいし、判断力にも優れている。でも、絶望しているし、すべてを諦め過ぎている」

不倫小説?
闘病小説?
社会格差小説?
上巻だけでも読み応え抜群。

この小説のいくつかのキーポイントの中に、「死」がある。
「死」を前にすると、ひとは自分だけは絶対に生き残れると信じこんでしまう。
映画「死ぬまでにしたい10のこと」のように、「死」を目前にしたひとの「強さ」を描くものもあるが、これはどちらかといえば、「弱さ」「卑しさ」ひとに見せたくない部分、しかし、より「真実」を描いている。
きれいなものより、きたないもののほうが、共感できることもある。

ほかにも、警察官の無能さをたたくエピソードや
おなじ病気の知人の死や
黒を黒で塗りつぶす社会の仕組みなど
読んでいて、これはどこまで実体験なのだろう?とドキドキしてしまう。
きっと、白石さんの生き様も盛り込まれているはず。

登場人物の名前がすべてカタカナ表記なことが気になったが、個人的な解釈としては実在の書籍やインタビューを使用しているから、架空と実在の区分けをしたかったのかな?なんて勝手に考えた。真実はしりません。
おもしろい。
下巻もたのしみだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2012年1月13日
読了日 : 2012年1月13日
本棚登録日 : 2012年1月13日

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