2012年の1月末日、自宅マンション火災により急逝した川勝さん。
錚々たるサブカル著名人、マスコミ関係者たちから、その早すぎる死に悲嘆の声があがった。
亡くなるまできちんと川勝さんのことを存じ上げなかった。
そこで手にとったのが本書である。
どこの書店でも扱われておらず、Amazonでもプレミア価格がついていて、手を出すのを躊躇ったが、弔いの意を込めて読了。
注目すべきは、幅広い情報収集力と、若々しい感性だった。若い感性と、その年代特有の感性が共存するからこその比較が、年代をこえてわかりやすく、愛嬌を感じた。
ゴッドタンのキス我慢選手権における「みひろ」と、ブラックスネークモーンの「クリスティーナ・リッチ」の比較がいい例。
【文化デリックのPOP寄席2007】
ゲストに、モテキで飛躍した大根仁、インザプールの三木聡、評論家の山田五郎、ソラミミストの安西肇、長嶋有名義では芥川賞大江健三郎賞作家のブルボン小林、ものまね女王清水ミチコなどなどをゲストに、それぞれのコアな部分を踏んだんに語らせるPOP寄席2007。
これはおもしろかったー。
なかでも、特殊翻訳家の柳下毅一郎の語る「日本全国警察史めぐり」では、フィクションではあるまじきノンフィクションの実態がまざまざと描かれている。
山形で起きた脱獄囚の話は事件性が高い。刑務所に拘禁中の前科8犯の未決囚が脱走した日、警察は厳戒態勢だった。しかし、いきなりそこに、脱獄囚ではない少年が日本刀を持って一時間の間に8人殺傷するという事件が起きたのだ。前述の脱獄犯とはまったく関係のない事件である。たまたま同じ日、同じごろの時刻にこんなことって…
紐解けばいろんなことがあるから怖ろしい。
ギルモデルトロ監督の「パンズラビリンス」について、杉作J太郎×大根仁対談を川勝さんが司会で行ったものも面白かった。
杉作先生はやはりキレる!
帯や小見出しに最適な言葉をサラーんと出してしまう。
また、ナンシー関が亡くなったあとに催されたハンコ展の企画前に語られた対談も良かった。
ナンシー関はテレビの守護神だった、と誰もがその毒舌視聴者をいまなお惜しんでいる。
本書を読んで、新たに手を出してみようかなとおもう分野が増えて嬉しい限りです。
遅ればせながら、川勝正幸さん(享年55歳)のご冥福をお祈りいたします。
- 感想投稿日 : 2012年12月27日
- 読了日 : 2012年12月27日
- 本棚登録日 : 2012年12月27日
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