明治期の文学の、特に自然主義文学の流れを丹念に追う。
明治時代というと大昔だし、古くさいし、お堅いんだろうな、と僕はつい距離を置いてしまう。著者による数々の現代的なモチーフ(伝言ダイヤル、AV、たまごっちなど)の挿入 は一見ふざけているようだが、読者と明治文学との距離を近づけさせるための渾身の工夫と思える。
僕はこの本を読まなければ、石川啄木が現代でいえば援助交際のようなことに金を使い込みながら詩を書いたということを考えもしなかっただろう。
芸術は大河ドラマのように多分に美化された、かっこつけた場所だけではなく、俗っぽく垢にまみれた混沌でも生まれるという当たり前といえば当たり前の事実に気づいた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2011年12月18日
- 読了日 : 2011年12月18日
- 本棚登録日 : 2011年12月18日
みんなの感想をみる