僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう (文春新書)

  • 文藝春秋 (2017年2月17日発売)
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どの人もさすが第一線で活躍されている方。こんな風に歳をとりたい。

山中伸弥…20代はなんでもいいから失敗してでも打ち込めるものを見つけて貰いたい。それと体力は裏切らない。

羽生善治…失敗を挽回できないほど重ねないこと。ミスを重ねないためには「その時点から見る」という視点が大事。「次の一手から始まる」とその場に集中していく。様々な物差しを持つと何かに挑戦する時に必要以上に不安にならないし考えすぎない。結果だけを求めると上手くいかず苦しくなることもあるが、プロセスの中で「面白い!やって良かった」という感動を見つけられることが挑戦を続けることの支えになる。挑戦をスムーズに続けるにはどこまでアクセルを踏んでどこでブレーキを踏むか適切な判断ができるかにかかってる。相手の立場で考える難しさ。相手の立場に立って自分の価値観で考えてしまう。

是枝裕和…読者は目に見えない存在。うなづいているかどうか殆ど自信が持てない。だがみんなに分かってもらおうとすると最大公約数になってしまい、何も面白くない。もっともらしい言葉がないのがいい。
世界はいつも自分の文脈の中で認識される。文脈を外れてそれ以外の見方で接することは中々難しい。悪を排除して解決できることなんて、実は大した問題ではない。真っ白と真っ黒を放棄したグレーゾーンの中で物語を作り続けたい。

山極壽一…勝つ論理と負けない論理。どちらも共存するためのルール。勝とうと思ったら相手を屈服させなければならないから、恨みを買ったり、相手が自分を避けたりする。しかし負けない論理のゴールは相手を押しのけることではなく友好的に共存することだから相手を失わない。自分にしかできないことは何だろう、自分だからこそできることを探す。それが自分の知識をまとめることにも繋がるし、他人が考えたのではないことを自分が考えることにも繋がる。動物は諦めが早いが、人間はしつこい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年5月26日
読了日 : 2021年6月6日
本棚登録日 : 2021年4月11日

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