哲学者による、「愛」「死」「人間とは」「幸福とは」を語るエッセイ。この手の本はいくらでもあるが、本書の特徴は、哲学者である著者がオオカミとの暮らしの中で得た気づきが中心になっていること。全く新しい視点を見せてくれる。「動物が他者を攻撃するのは本能に基づくものであるが、人間(サル)だけは悪意に基づく」「人が何かをすべきでないといときは、それが実現できないということを含む」「人間がもたらす邪悪のほとんどは、悪巧みの結果ではなく、道徳的な義務を果たそうと言う意思の欠如から」「幸せは感情ではなく、存在のあり方」「人間が死ぬ時に失うものは、それまでの人生で積み重ねた努力」「シーシュポスの幸せ」
人間による人間の考察にとどまらず、動物の一種、特にオオカミから見てサルの一種である人間とはどうなのか、愛や死をどう捉えるべきかという切り口が新しく、学びになる。どうやら筆者は相当な変わり者だが、そのことがこの新鮮な体験・学び・記述になっていると思うと、ありがたい限り。
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- 感想投稿日 : 2022年2月21日
- 読了日 : 2022年2月21日
- 本棚登録日 : 2021年9月13日
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