それでも旅に出るカフェ

著者 :
  • 双葉社 (2023年4月19日発売)
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感想 : 208
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世界各所で受け継がれた伝統の料理、スイーツが出てきて、心地良く読んでいたものの、後半からの意外な展開に現実の厳しさに入り込むこととなった。読後ざわっとしましたが、人の心の奥底の描写に引き込まれました。
オーナーの円(まどか)が世界各国を旅して出会った料理を提供する、カフェ・ルーズ。コロナ禍の影響をもろ受けて経営状態も不安定。又、テレワークの中、気持ちを持て余す瑛子の心の拠り所はこの店。
気になったのはこの二人の関係性。少しの間だけ一緒に仕事をしていた、とあるけど、付かず離れず深入りしない、程良いのだけど、なんか距離を感じた。これは続編とのこと、前編で少しは謎が解けるのか。
コロナ禍が仕事に及ぼした影響、社会の不条理さに悩む店に関わる人たち。価値観や多様性、人間模様の闇の部分がカフェ・ルーズを通して描かれます。
伝統の味を再現するための努力を惜しまない円の姿から、背筋が伸びる思いがします。自分の努力があるから、人に自信を持って勧められる。
わたしたちはなにかが足りないと思わされてきている。
思う、のでなく、思わされてきている、その感じが社会の壁なのかと思いました。
特に気になったのは、湯圓(タンユェン)、中国や台湾のお団子。酸梅湯(さんめいたん)、中国古来の夏バテ対策ドリンク。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年2月4日
読了日 : 2024年2月4日
本棚登録日 : 2024年2月4日

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