全3巻の2冊目
1498年にフィレンツェ政府の第二書記官に選出され、1512年に職を追われたのち、翌年には逮捕・投獄されるまでの、15年間がこの第2巻で描かれている。
第1巻はマキアヴェッリが世に出るまでのフィレンツェ史であり、そのため主役はマキアヴェッリではなく、その時々にフィレンツェ政治の第一人者であった人々、コシモ、ロレンツォ、サボナローラであった。もしくは、フィレンツェという都市自体が主役であったかもしれない。
この巻で、ようやくマキアヴェッリが表舞台に登場する。フィレンツェ政府の官僚として実力を認められ、他国との交渉を任されるが、マキアヴェッリには大した権限が与えられない。フィレンツェ自体が大国に翻弄され、金だけいいように毟り取られる斜陽都市だった。それでもがむしゃらに動き回るマキアヴェッリの姿が痛ましい。
『君主論』の君主像のモデルと言われるチェーザレ・ボルジアはこの巻に登場する。
先行研究の成果を踏まえつつ、あくまで一次資料に依拠して独自のマキアヴェッリ像を提示しているが、そこは作家らしく自宅から勤務地であるフィレンツェ政庁までの通勤ルートや、終業後はここから同僚と飲みに行ったのだろうなど、人間マキアヴェッリを想像させる種があちこちに散りばめられていて楽しかった。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
イタリア
- 感想投稿日 : 2016年1月26日
- 読了日 : 2016年1月26日
- 本棚登録日 : 2016年1月22日
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