38億年 生物進化の旅 (新潮文庫 い 75-6)

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  • 新潮社 (2012年8月27日発売)
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早稲田大学国際教養学部で生物学者(構造主義生物学)の池田清彦による書。
38億年に渡る生物の進化の歴史を総括しつつも、詳しく説明する『38億年生物進化の歴史』。

ある時代にどんな生物が棲息していたかを明らかにする古生物学を中心に、進化論(進化のメカニズムを明らかにする研究)を織り交ぜながら生物進化の旅を体験させてもらえる。

著者は、本書を書いた理由(の一つ)を『進化史を画するような大きな出来事は、遺伝子の突然変異、自然選択、性選択、遺伝的浮動といったネオダーウィニズムの概念装置では解読不可能なことを、生物の進化史に即してはっきり示したかった』としておられるが、その目論みはかなり成功しているように思われる。
進化そのものを遺伝子のみで解説するのではなく、遺伝子の使い方を制御しているシステムについて、かなり納得できる形で解説がなされている。

古生物学については、難しい用語(というか、生物の学名)など、慣れていないのでややこしく、イメージでいない箇所もいくらかあった。
また、冒頭の遺伝子に関わる解説はやや難解な面もあったが、全体として、楽しめた。

生物の多様化について、「適応放散」「生態学的収斂」を用いての解説はかなり面白かった。
また、ニッチ(生態的地位)については、アフォーダンス理論(←本書には出てこないが)と絡み合わせて考えても面白いかと思った。

本書は、38億年の生物進化について、おおまかに、

■生命の誕生と原核生物の登場
■原核生物から真核生物への進化
■多細胞性物の出現
■多細胞性物の多様化

に分けて解説してある。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
約38億年前、地球に生命が出現した―。だが、そもそも生命はなぜ生れたのか。地球に生息する多種多様な生物は、どのような現象を経て今日の数に至ったのか。遺伝子の突然変異や自然選択といった旧来の「ネオダーウィニズム」では決して明らかにできなかった進化の本質。あなたに繋がる生命の歴史3800000000年を200ページでわかりやすく解説する、画期的で刺激的な進化史講座。
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【目次】
第1章 無生物から生物がいかにして生まれたのか
第2章 シアノバクテリアの繁栄と真核生物の出現
第3章 多様化――単細胞から多細胞生物へ
第4章 カンブリア大爆発
第5章 動物や植物が陸に上がりはじめた時代
第6章 「魚に進化した魚」と「魚以外に進化した魚」
第7章 両生類から爬虫類へ
第8章 恐竜の進化と、鳥の起源
第9章 爬虫類と哺乳類のあいだ
第10章 ほんとうの哺乳類
第11章 様々な有蹄類たち
第12章 ヒトはどのようにヒトになったか
終章 進化とは何か
あとがき
文庫版あとがき
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年9月5日
読了日 : 2012年9月5日
本棚登録日 : 2012年9月5日

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