ルナティカン (ハヤカワ文庫 JA カ 3-30)

著者 :
  • 早川書房 (2003年3月1日発売)
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本棚登録 : 180
感想 : 12
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大企業が開発したアンドロイド両親によって養育された少年は、企業により保護される「王子様」として月面都市で暮らしていたが、地球からやって来た女性作家と、彼のボディーガードも務めていた“ルナティカン”出身の自由探偵により、自分の出自が月の被差別民・ルナティカンだと知る――
映画「A.I.」(人間とアンドロイドの親子関係は逆だけど)を何となく思い出すような、プログラミングされた愛情を持つアンドロイド両親と少年ポールが迎える結末はかなり重い。が、この物語の主筋を担うのではポールではなく、自由探偵のリックということで、物語世界がはらむ重いテーマは取り立てて掘り下げられることなく、ストーリーはハードボイルド調に淡々と展開する。シビアではあるが、真実を知って一歩先へと歩み出した登場人物たちの後ろ姿を見送る形で終わるラストは、バッドエンドではないと感じた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本:現代(1945-1999)
感想投稿日 : 2012年3月16日
読了日 : 2012年3月14日
本棚登録日 : 2012年3月16日

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