物語のターニングポイントとなる6巻。横寺を羨ましがる副部長と、副部長を羨ましがる横寺が、猫像の力で入れ替わり修学旅行をする。それぞれのキャラクターが生きていて、悩んで、考えて、動く。日常となる副部長との対比が見事だった。
小豆梓がいい子すぎて、幸せにしてやりたい。このままだと主人公は筒隠月子を選ぶだろうけど、そんな初恋みたいな恋に恋する思いじゃなくて、純真で、わんこっぽくて、例え話が変で、友達がとても少なくて、不器用で、大好きという気持ちを一生懸命伝えてきて、本質を分かろうとして、主人公に信頼を寄せる、小豆梓を幸せにしてやって欲しい。すごくいい子じゃないか。一生懸命じゃないか。天然でも本質を突く真っ直ぐさがあるじゃないか。横寺にふられ、彼と子猫の彼女が共に人生を歩むのを見ることになるのは辛すぎる。だって忘れちゃうんだよ。思い出になったら、忘れられちゃうんだよ。
主人公が思い出を渡した5巻のエピソードが、ここで大きな意味を持つ。横寺陽人は大切なものを一つに決めて、彼女を守るためなら自身の評判が地に落ちようと構わないという姿勢を貫く。信じてくれる人がいるから。味方がいるから。大切なもの以外をすべて切り捨てることはできないけれども、それでも君を一番に大切にすると決めたのだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
ライトノベル
- 感想投稿日 : 2015年5月17日
- 読了日 : 2015年5月17日
- 本棚登録日 : 2015年5月17日
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