本角川文庫版では2巻にあたる未来編であくまで脇役として登場する猿田博士の助手ロビタは、その物語において「私もあなたに仕えて60年、老いぼれてしまった…」というセリフを吐く。5巻にあたる本巻においてはそのロビタ自身の誕生秘話的な流れで物語が流れてゆく。
実際に発表されたのも未来編が先とのことなので、角川文庫もこの脇役→誕生秘話的な順を気に入ったということなのだろう。ここの部分は自分としても意見が一致する。
羽衣編は火の鳥の中ではめずらしく他編にあまりからみあわない、独立したお話だとずっと認識していた。人形浄瑠璃かなにかの舞台をみせるような手法が新鮮で、木下惠介版の「楢山節考」(1958) を観たときも「おお、これは手塚さんにみせてもらった手法。」とあまり驚きはしなかったりした記憶がよみがえる。発表順から判断する限りは木下惠介が先駆者だったということになるのだが。
で、その「羽衣編は独立章か?」という問いかけにはその後の望郷篇(角川文庫版でいうところの次巻に収録)にて、初出の連載誌COMの休刊などが影響した結果多大な改稿がなされ、元あった関連性が薄れてしまったという話がWikipediaにも記されており、こちらはこちらでオリジナル版の存在が気になったりもする。
さ、次いってみよぅ!
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- 感想投稿日 : 2018年7月2日
- 読了日 : 2018年6月27日
- 本棚登録日 : 2018年7月1日
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