栄えある2021年初劇場鑑賞作品は本作。
最後に劇場で鑑賞できたのはいつだったのだろうとカレンダーをさかのぼると昨年2月中頃のようす。実にまる14ヶ月かかったことになる。自身の劇場鑑賞優先主義に基づけばこれは由々しき事態であり、残り短い一生の中ではこうしたことは二度と起こってほしくないし起こしたくもない。
本作は上質なイタリアンオペラを観せてもらったような気分にさせてくれる。自分にとっての「上質なイタリアンオペラ」の定義がなんなのかはとりあえずどこかに置いといて。
鑑賞後、最寄り地下鉄駅のUptown側が週末メンテの影響で閉鎖されているであることは来訪時に気づいていたので、動揺することもなく北へ一駅歩くことにした。
久々のWest Village界隈、程なく歩いて思いついたのは長年足繁く通わせていただいた居酒屋の跡地を訪ねること。その店はコロナ禍のあおりを受けて昨年末閉店となってしまった。幸か不幸かその場所には後続のテナントはまだ入っておらず、旧テナントのロゴもそのまま残っていた。その姿をスマホに収めてみたり。
そういやフェリーニが気になったのはこの居酒屋のトイレに「甘い生活 La Dolce Vita」(1960) のポスターが飾ってあったのが発端だった。この作品が同じ界隈にあるIFC Centerで上映されていることを知って観に行ったのは何年前のことだったのだろう。二階の待合いスペースに上映中作品の貴重な関連ポスターを展示するのが恒例だったのだが、そのときには「道」という字が入った日本版フェリーニのポスターが貼ってあったこともほのかに覚えている。その映画を14ヶ月の病気療養期間を経て鑑賞する機会を得た…。そんなこんなに思いを馳せたのは帰ってこれを書き出してから。なんだろ、この巡り合わせは。行き先のわからぬ螺旋階段をのぼるような感覚。
上映前の近日上映予告には「8 1/2」(1963) と「カビリアの夜 Le Notti di Cabiria」(1957) が含まれていた。今回の鑑賞を通して主演女優のジュリエッタ・マシーナが気になってしょうがなくなってしまった自分にとっては彼女主演の後述作品ははずせないとして、この螺旋のゆくさきを見極めるためには前述も欠かさずに観る必要がありそうだ。
いままで気にもしなかった「主張するマスク」でも探してみたくなった。監督名とかが入ったやつでもカスタムオーダーして、それをつけて劇場に行ってみたいというささやかな望み。
そんな土曜のよる。
- 感想投稿日 : 2021年4月18日
- 読了日 : 2021年4月17日
- 本棚登録日 : 2021年3月19日
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