JavaScript: The Good Parts ―「良いパーツ」によるベストプラクティス

  • オライリージャパン (2008年12月22日発売)
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本棚登録 : 931
感想 : 55
4

トータルの印象としては、「買い」である。
本書は、JavaScriptを見よう見まねでプログラミングしてきた人が
もう一歩先に進むために読んで欲しい、中級者以上向けの本である。
著者は、JSONを発掘した人物だけあって、
本書中には非常に深い経験と洞察に基づいた興味深い内容に
あふれている。
読者の前提として、JavaScriptの基本的な知識に加えて、
Java、C#などの強く型付けされたオブジェクト指向言語を習得していると、
本書の主張している内容が理解しやすいだろう。
これは、文書中にクラスの概念や他のプログラミング言語との対比が
述べられているからである。
本書は、JavaScriptが標準API、言語仕様のレベルで、
「良い部品」と「悪い部品」とに分けて、できる限り「良い部品」を利用して、
読みやすく、修正しやすく、バグの少ないコードを書くことを説いている。
あくまで言語JavaScriptとして既に存在している良い部分を
「良い部品」というサブセットに切り出しているのであって、
著者が新規の部品を本書中で作成、公開するというわけではないので、
その点は注意する必要がある。

以下、良い点と悪い点を具体的に述べる。
□良い点
1.モジュール化
語られることの少ないJavaScriptのモジュール化について、きっちりと述べている。
グローバルな変数を利用することなく、内部状態を隠蔽したオブジェクトの定義を作成するテクニックを学ぶことができる。
2.プロトタイプ型言語
prototypeオブジェクトによる擬似クラスによる継承に関して学ぶことができる。
Java、C++などのクラス型オブジェクト指向言語とは異なる、
プロトタイプ型の継承システムに関して詳細に述べてあり、
非常にためになる。
□悪い点
1.極端な選別
「良い部品」と「悪い部品」が若干極端である。
全てのプログラムを一人で作成する場合は良いとしても、
実際のプロジェクトで本書のような取捨選択を、
完全に周知徹底していくことは現実解としては厳しい印象がある。
例えば、== や != を使用しない、 withを使用しないなど、である。
2.冗長な章
序盤の鉄道ダイアグラムを用いたJavaScriptの言語構文説明は、
不要な印象がある。しかも、著者の「良い部品」のみ記載しているため、
リファレンスとしても利用価値に疑問がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: IT
感想投稿日 : 2010年5月5日
読了日 : 2010年5月3日
本棚登録日 : 2010年5月3日

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