サガンの四番目の長編。ブックオフで¥105だった。
主な登場人物はたった三人なのに、これほどの作品にできるサガンの心理描写はすばらしい。それほどにひとが誰かに恋をし、誰かを愛することは複雑でたくさんのドラマが含まれている。そのくせきっかけはとても単純で、はまってしまえばあっという間に堕ちてゆく。
過ぎ去った美しい時が今を生きるひとに揺さぶりをかけるつらさ、大切な何かを失う悲しさ、冷たい夜の孤独から来る寂しさ。サガンの手によって純化されたそれらは、苦しいことなのにどうしてか美しい。
幸福も悲しみも、ずっとそこにあり続けるのではなく、いつかどこかへいってしまう去りゆくもの。だけど、心はそれらをいつまでも消せない。だからこそ、ひとはもう一度立ち上がり、歩き続けようとする。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
物語
- 感想投稿日 : 2013年3月28日
- 読了日 : 2013年3月28日
- 本棚登録日 : 2013年3月28日
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