わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年10月18日発売)
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本棚登録 : 4643
感想 : 485
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サラッと大事なことが書いてある本。
読んでてすとん、すとん、あぁ、わかる…って自然と腹落ちしていくのが不思議。さすが平田オリザさん、って思う。
偉ぶらないでガシガシわかりやすーく本質に向かっていく。。。素晴らしい。。。

記憶に残ったのは、

・大事なのは冗長率のちょうどよさ
…新しい意見や異なる価値観の意見を交換し深めあう「対話」においては、簡潔に説明するのがよいという訳ではなく、「えぇと」「あの」「それは」みたいな冗長さがあった方がいい(目から鱗①)

・コミュニケーションで注意すべきはコンテクストのずれ
…はっきり「違う」「わからない」ことよりも、概念を共有していることの方が、コミュニケーションのずれは起きやすい。例えばおばあさん世代と、高校生の、電車での他人への話しかけやすさ。の違い。(目から鱗②)

・コミュニケーションデザインへの気配りの必要性
…話す側だけじゃない。話し手が話しやすい雰囲気にしてあげているか、話す場は、語る相手の人数は、その建物の作りは、そこへのアクセスは、など。
なるほど!と思った。職場でなんでも情報持ってる上司のことを思い出して、なるほど!!!と思った。

・協調性から社交性へ
…p.206「しかし、もう日本人はバラバラなのだ。 (中略) だから、この新しい時代には、「バラバラな人間が、価値観はバラバラなままで、どうにかしてうまくやっていく能力」が求められている。 」
なんか、職場の管理職から、若手について(私も多分相当若手)「昔はガツガツやるのが当たり前だったしかっこよかったのに」「今の子は異様に褒められたがる」とかの相談を受けて、「なんか、すいません…」と若手世代がダメなように感じてたけど、そうじゃないんだな、と。オリザさんの文章を読んでて思いました。
若手自身やその家庭など自身に起因するものが悪いんじゃなくて、時代や社会、日本の経済状況が変わった中で生まれた違いなんだな、と。
そう考えたら自分の姿勢が恥ずかしい、とか情けない、とか思ってたのがバカらしくなって、
説明すればいいんだ、うまく説明できるように調べて本を読んで考えればいいんだ、そして話をして理解し合えばいいんだと思えるようになった。

その意味で救い。救いが多い本でした。ありがとうオリザさん!!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年10月11日
読了日 : 2019年10月11日
本棚登録日 : 2019年9月26日

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