メンデルスゾーン、アンデルセン、スウェーデンのソプラノ歌手ジェニーの三角関係の物語。
中野京子さんの絵画シリーズはいろいろ読んだけれど、音楽シリーズははじめて。
小説仕立てになっていて読みやすかった。
メンデルスゾーンは軽いサロン音楽ばかりを作っていたイメージだったけど、
中野さんが言うようにもっと評価・研究されてしかるべき人なのかもしれない。
とりあえずメンデルスゾーンの曲を改めて聴いてみたくなった。
幼少期のうそのような可愛らしさにもびっくり。
ジェニーの歌声もいまとなっては楽しめないのが残念。
硬質でリリックでなめらかで、という言葉で想像を膨らませて「歌の翼に」を頭の中で再生してみよう。
そして何といっても一番のインパクトはアンデルセン。
文献やさまざまな人の日記を当たって実際の人物像に肉薄しているとしたら、
アンデルセンの無邪気さ、能天気さ、厚かましさ、無神経さ、鈍さには呆然としてしまう。
ほんとうにこんな人だったんだろうか?
素晴らしい物語を作る想像力はあったのだから、
人の気持ちももっと分かってもいいような気がするけれど。
ジェニーにストーカーの如く付きまとう姿は痛々しくて見ていられない。
ジェニーもいくら口下手だからってもっと早めにはっきり断ればいいのに、と思ったけれど。
でもとにかく面白かった。ほかの音楽シリーズの本も読んでみよう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年4月9日
- 読了日 : 2015年4月9日
- 本棚登録日 : 2015年4月9日
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