「自省録」に象徴される哲学者の賢帝マルクス・アウレリウスは統治後半、侵入する蛮族との戦いに終始する。家族と現地に身を置き、軍隊に尊敬される最高司令官として、防衛線を破る蛮族に対する戦闘に忙殺される。その戦術次元の戦いにはカエサルやハドリアヌスのようなローマ帝国全体の戦略構想が決定的に欠落していた。彼のキャリア上やむおえないか。
異民族との関係の悪化、そのような状況下、マルクスは実子コモドオウスに帝位を譲るという決定的な誤りを犯す。コモドオウスは皇帝ネロ・皇帝ドミテアヌスについで、暗殺された後元老院から3人目の「記録抹殺刑」に処される。「この2人の先輩と比べても公共建築も建てなければその修理もしなかったので、消さねばならない碑文さえもないのだった」
パックスロマーナ・五賢帝の時代の終焉が急速に進行する。
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- 感想投稿日 : 2022年7月28日
- 読了日 : 2022年7月27日
- 本棚登録日 : 2022年7月27日
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