テクニウム――テクノロジーはどこへ向かうのか?

  • みすず書房 (2014年6月20日発売)
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テクノロジーを「テクニウム」という生物種になぞらえ、その様相について驚くべき深い洞察と極めて重要なビジョンを示す非常に興味深い本です。

テクノロジーの性質は、リチャード・ドーキンスの『利己的な遺伝子』風に、人間の知性を<乗り物>にして一種自律的に進化するものである。その進化には方向性がありしかも「進化が進化する」驚異的なものである。

では人間はテクノロジーにどう向き合い、付き合えば良いのか。ここで原理主義的なラッダイトを実践したユナボマーと、テクノロジーの受容と選択を共同体としてコントロールするアーミッシュについて考察し、テクノロジーを「選択肢を解放するもの」と考え、とにかく新しいテクノロジーは「常に監視しながら継続的に試験されなくてはならない」としている。

筆者は最終章に神を引き合いに出していますが、正に神学や歴史学も同じフレームで考察すべきなのだと思います。筆者は(テクノロジーにおいて)未来は現在よりも良くなる史観をもっています。「テクノロジー」の定義からして人間はこれから逃れることは不可能であるため、やはりテクノロジーに対する態度は「常に監視しながら継続的に試験されなくてはならない」となるべきであると筆者の意見に賛成します(これはエリック・ブリニョルフソン他の『機械との競争』に対する部分的な回答になっており、結論の核の部分で一致しています)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 専門書(基本的な知識が必要)
感想投稿日 : 2015年2月15日
読了日 : 2015年2月15日
本棚登録日 : 2015年2月15日

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