たまたま何かの小説(たぶん石持浅海作品)の解説に、著者の名前が紹介されていて興味を持ち、図書館で借りて読んでみた。
古めかしくて、「いつの時代?」と思わず書かれた年代を確認してしまうほど。
携帯もUberもない時代、連絡や移動手段の確保が大変そうだな〜なんて現代っ子丸出しの感想を抱く。
まず目次から面白い。
——————
第一章
ここではとんびが三羽よって
あぶらげのさらいっこをする
第七章
ここでは角砂糖の用途がわかり
近藤は三度目の気絶をおこなう
——————
といった感じ。どういうこと?と思いながらもワクワクするし、全て読み終わってから目次に戻ると、「確かに」と唸ってしまう。
次から次へと予想できない出来事の連続と馬鹿馬鹿しい展開に、伊坂幸太郎の『陽気なギャング』をうっすら思い出した。
特に、ラストの以外すぎる人物との対決には笑いが止まらなかった。ぶっ飛んでる!
令和のコンプライアンスにがんじがらめなテレビドラマに慣れ切った感覚で読むと、バンバン人が死にまくって不謹慎極まりないし、無駄としか思えないお色気描写など、フェミニストが激怒しそうな表現が盛りだくさんでとても新鮮だった。
感圧の解説で、宍戸錠さんと浅丘ルリ子さんで映画化したと知り、なんとなく納得。
好きか嫌いかで言ったら全然好きじゃないけど、最後までページをめくる手が止まらないほど引き込まれたし、面白い読書体験だった。
普段読まないようなジャンルもたまにはいいな、と思えた。作中に登場するようなレトロ喫茶にふらっと行ってみたくなった。
- 感想投稿日 : 2023年1月28日
- 読了日 : 2023年1月28日
- 本棚登録日 : 2023年1月28日
みんなの感想をみる