一言でいうと「韓国ドラマ(を中心とした海外ドラマ)に学ぶ異文化コミュニケーション入門」といった感じの本。著者自身が「あとがき」で、「本書を書きたいと考えたきっかけは、韓国ドラマ『愛の不時着』にハマったからである。」と記載しているとおり、本書全体を通じて、韓国ドラマに対する没入感が伝わってくる。
おそらく、著者と同じように、韓国ドラマを愛好する者にとっては、韓国ドラマを入口にしながら、異文化コミュニケーションの理念や基本的な考え方を学ぶことのできる良き入門書となるのではないか。
一方、韓国ドラマに対する熱が強いあまり、その通底に流れている異性愛イデオロギーを無批判に受け入れながら「ジェンダー・コミュニケーション」を論じてしまっている点には、非常な危うさを感じる。性の多様性や、性をグラデュエーションとして捉えることの大切さが認識されつつある現在において、「男女間のコミュニケーションは、異文化コミュニケーションである」というデボラ・タネンの言葉は、果たしてそのまま、現在においても有用な枠組みであると言い切れるのか。私には疑問が残った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説・マンガ(SF)
- 感想投稿日 : 2021年10月1日
- 読了日 : 2021年10月1日
- 本棚登録日 : 2021年10月1日
みんなの感想をみる