ストーリーでわかる ファシリテーター入門――輝く現場をつくろう!

著者 :
  • ダイヤモンド社 (2018年2月16日発売)
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感想 : 11

【概略】
 南里マリコは、セレクトショップを多店舗展開する会社・ワンダーXの人事係長という立場と同時にインターネット上のビジネススクールで学ぶ32歳のシングルマザー。彼女は、向かい風に苦しむ社内の、経営陣と現場のスタッフの感覚のギャップに違和感を覚えた。人事部という領域を超え、彼女は実際の店舗に赴き、そのスタッフ達と現状打破に励む。そこで応用されたのは、彼女がビジネススクールで学んでいるファシリテーションのスキルだった。

2023年10月26日 読了
【書評】
 直接の(ストーリーとしての)つながりはないのだけど、作品としての位置づけは「ザ・ファシリテーター」「ザ・ファシリテーター2」に続くものとされている本書は、前作・前々作に漏れずストーリーテリングとしても水準の高い内容だったと思う。主人公のキャラクター設定(内気でガンガンひっぱるタイプではない性格が、ファシリテーションを重ねるうちに相手の「引き出し方」を覚えていく様子)であったり、外部から招聘された現・代表取締役の哀愁であったりといった点や、店舗メンバーが活発になっていく様子に臨場感が感じられたね。3作品の中でも一番手に取りやすい内容なのじゃないかなと思った。社長に対して「かしこマリコです」って切り替えは、キャラクターの性格や一般的な(しかも社長が出席する)ミーティングでは言わないでしょ・・・とツッコミは入れてしまったけども(笑)
 実際に現在、本書や前作・前々作で語られているようなリクエストをお仕事として頂戴して、取り組んでいる。当事者意識バチバチな状態で読んでいるから余計に楽しくワクワクして進んでいけたというのも(読み手としての文脈から)ある。そしてあらためて感じる、パブリックスピーカーとして「伝える・伝わる」というスキルに追加して必要なスキルは、ファシリテーションだということを。自分の感覚は間違っていなかったなと思える。それは(読書という)机上の空論だけではなく、現実のお金を頂戴している世界からも、痛感してる。
 自身の会社・部署に、そこはかとない停滞感を覚えたり、実際に数字に元気を感じなくなってしまったならば、一度こういった事柄を試してみるとよいのかもしれない。できるならば、社外の人間を入れるといいかも。実際に上下関係があったりすると、言いたいことも言えない状態を前提に進めないといけないからね。
 本書内で主人公が通っているインターネット上のビジネススクールは、もちろん架空設定なのだけど、実際に近いものがあるならば、是非通ってみたいなぁ。沢山の学びがありそうだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファシリテーション
感想投稿日 : 2023年10月26日
読了日 : 2023年10月26日
本棚登録日 : 2023年10月26日

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