平和構築入門: その思想と方法を問いなおす (ちくま新書 1033)

著者 :
  • 筑摩書房 (2013年10月7日発売)
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本棚登録 : 183
感想 : 13

【概略】
 「平和」とは、一体なんなのだろうか?どういったものを「平和」と指すのだろうか?そもそも「平和」とは、自然発生的に誕生するものだろうか?それとも、二次的に獲得するものだろうか?本書では、「平和は構築するもの」という前提にたって、「主権国家」「武力介入」「犯罪処罰」「開発援助」「人命救助」という観点より平和構築の可能性を探ったものである。

2019年04月25日 読了
【書評】
 まず☆2は、決して本書のせいじゃない。読み手の側の問題。冷戦以降の各地域の紛争と、それに対しての国連を中心とした諸外国の関与について、知識不足がかなり読み進むことに対しての影響、あった。そのために、入り込む(または、入り込み続ける)こと自体にかなり意識が集中してしまった。うぅ。
 そんな中でも、非常に面白いなぁと思った考えが何個か。たとえば「私たちは(おそらくはこの本の狙いとしてはこの「私たち」は「日本人」だと思う)、国際社会というものは一度完全に成立していて、突発的かつ部分的にほころびを見せるのが地域紛争だととらえがち。しかし実際は、一度たりとも国際社会は完全なものになったことはない」という表現。そうなんだよね。まだまだ道の途中・・・ってのは、凄くわかる。
 また日本人の「戦争」に対するイメージへの言及も、興味深かったなぁ。戦争を、大空襲・大虐殺・総力戦、片方の国家が消滅するのでは?というイメージを持つ人、多いと思う。また、戦争になった途端、法規範などがなくなる、なんて考える人もいると思う。治安維持法だとかの影響かな、これは。じゃあ、平時の時から有事について語って、有事の際の法整備など、考えたらいいのに、それすらシャットアウトしてしまう傾向、あるからなぁ。そもそも、この書評自体だって、危険と思っちゃう人、いるんじゃない?(笑)
 勉強不足だったが故に、国連の平和維持活動の変遷などは、「へぇ~」という状態だった。本書では「中立」から「公平」に、なんて書き方されてたけど、初期は、本当に中立性を保つべく、積極的な武力介入してなかったのが、時が経つにつれ、軍事なイメージというより警察なイメージで、積極的に関与してるものね。
 大虐殺などなくても、戦争(地域紛争も含むよ)が起きたら、人の命は奪われるんだ!・・・ってのは、まさしくその通りなのだけど、起きてしまった紛争の火を消すのにも、誰かの命は奪われる。勿論、自分の命は大事だけれど、そこで思考停止しても、誰かの命は奪われてる訳だ。
 戦争は他の手段による政治の継続にすぎない、なんて言われてたのが、最近は国家だけじゃなくテロリストにも適用されるようになってきた。完全な国際社会・・・全くできてないよねぇ(涙)
 そして、平和に関する本・・・冊数を重ねれば重ねるほど・・・迷路に迷い込んだ感覚、あるなぁ(笑)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2019年4月25日
読了日 : 2019年4月25日
本棚登録日 : 2019年4月25日

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