歌野晶午さんの本を読むのは今作が初めてです。
いじめられている少年、太刀川照音(たちかわしょーん)。ジョン・レノンかぶれの父親と瑤子(よーこ)の間に生まれた彼の日記からこの物語は始まります。
母親、父親……と移り変わっていく語り口から、彼が神に祈り続けた結果、自分をいじめていた男子生徒が呪い殺されてしまったように見えますが、真相は果たして……?
という物語。
文庫本には珍しくずっしりと重い647ページの大作ですが、次はどうなるんだろうと期待が膨らんですぐに読み終えてしまいました。
いじめ描写がかなりリアルで、過度な脚色をされていなさそうなのが怖い。実際、照音のようにいじめに苦しんでいる人間は数多くいるのではないかと安易に想像がつくほどです。
しかし、後半になるにしたがってポツポツと明かされていく謎の種明かしはやがてどんでん返しとなり、個人的には大きな種明かしよりも、「そこ、こうだったのか!」という点が別にあったりします(笑)
ネタバレしない前提の感想なので面白さがイマイチ伝わらないかもしれませんが、ミステリー小説にありがちな「あいつも怪しい、こいつも怪しい」ではなくて、(そういう風に読むと余計に分からなくなる)まさに語り口からのトリック、言葉の世界でしか通じない仕掛け(とあとがきで言われていました)そのものといった感じです。
私は他の方のレビューをちょこちょこ読んでから読み進めてしまったので、中には確信スレスレのコメントをされている方もいるので、読み終えるまで謎は大事に取っておきたい方はレビューを見ない方がいいかも。
また他の作品も読んでみたいと感じました。
おすすめです!
【今回、この本で感じたテーマ】
・いじめ
・家族(の問題)
・親類
・殺人
・犯罪
- 感想投稿日 : 2022年11月12日
- 読了日 : 2022年11月12日
- 本棚登録日 : 2022年11月12日
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