左利きの医師である著者が、左利きのポテンシャルについて語る本。
「1万人の脳を見た名医が教える」という枕がついているのですが、この本に「具体的なデータ」「医学的根拠」などを求めておられるとしたら、読むのは止めておいた方が良いかもしれません。本書には一部、画像データなどはありますが、基本的に著者の主観(直感)を基にして記載されています。
利き手によって脳の頻用部位が違うということから、左利きは右脳を使う機会が多いこと、転じて言語を司る左脳の発達が右利きと比べて遅くなりやすいこと、左利きとして生きることで右脳が鍛えられやすい環境から、ひらめきや直感に優れるということなどが説明されており、これらが主軸となっています。
ひらめきノートや直感を育てる、という考えは今まで自分の中には無かったことなので、これから活用していけたらなと思いました。
一方で両方の脳を同時に活用することから左利きが右利きより左脳の発達が遅れやすく、従って言語を司るうえで劣等感を感じやすい、というところは私の場合は違っていて、幼い頃から私は文字の運用や言い回し、語彙、文法に至るまでそれほど苦労せずに生きてきましたが、著者の言葉を振り返ってみて初めて、自分が左手で文字を打つばかりではなく、キーボードで「両手を使って」文字を綴ることが普段からとても多いことに気が付きました。これも右手を使っているから、と説明ができることかもしれません。
データや資料ありきで説明されるのかと思っていたため、予想とは違った内容でしたが、十分楽しんで読み進めることができました。
機会があれば、データありきで似た内容の本も探して読んでみたいと考えています。
左利きは天才でも変人でもなく、単にマイノリティで左右の脳の発達バランスが良い人々。そう思ったら、もっと自分の利き手に自信を持って、個性や特徴を伸ばしていけるような気持ちになりました。
- 感想投稿日 : 2021年12月3日
- 読了日 : 2021年12月3日
- 本棚登録日 : 2021年11月26日
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