大いなる遺産(上) (新潮文庫)

  • 新潮社 (1951年11月1日発売)
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感想 : 55
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  「いったいどうして昔彼を無能な人間だなんて考えたのだろうと、なんども不思議に思った。
  が、ある日たぶんその無能さは彼の内にあったのではなく、わたしのうちにあったのだと反
  省 してみて、いっさいが氷解した。」


この物語を一言で言い表せる言葉を私は持ってない。

がんぜない少年ピップが成長するにつれ身に着けた教養により
発せられる言葉の中には思わずハッとさせられる言葉が多い。


巧みすぎる言い回しに何度も読み返して噛み砕かなければならない時が何度かあった。
それは私の読解力の足らなさによるものだけど、
その意味を理解した時の愉快さはなかなか味わえない。

最後エステラと再会した時はついに結ばれるのだろうかと期待もしたんだけど、
そんな気配がないまま終わり、それはそれで良かったと思う。

あの後ピップはクラリカー商会で働きながら成長していき立派な大人になり、
友人として付き合いを続けていたエステラといつか結ばれる、
というか、結ばれるといいなと一人で勝手に想像している。


以前オリヴァー・ツイスト(原作は同じくC.ディケンズ)の映画を見て
19世紀のイギリスは、湿っぽくて薄暗くて、人々も小汚く粗野な感じを受けたんだけど、
今見たら前と違って見えるかもしれない。
今度借りて見たいと思う。

上下巻、毎晩寝る前に約1時間のペースで読んで20日位。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年8月21日
読了日 : 2011年2月10日
本棚登録日 : 2011年8月21日

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