この道を行く人なしに (Lettres)

  • みすず書房 (2001年2月23日発売)
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感想 : 4
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南アと言えばアパルトヘイト、の悪名高い人種差別が制度化された国に生まれ育った著者。白人であっても人種隔離政策に反対し、黒人の権利向上と異人種の融和を支持していたことで知られるこの作家の作品を初めて読んだ。

アパルトヘイトか廃止に追い込まれ、混乱と抗争のなか黒人の復権に歩み始めた90年代の同国を舞台に、黒人の土地奪還に尽くしてきた弁護士と彼女を巡る家族、友人、同僚たちを描いた長編小説。

南アというまったく環境の違う、知らない国の歴史と社会が興味深いのと同時に、白人と黒人、男と女、親子と友人、様々な人物とその関係性が鮮やかに描かれ、どこの国でも変わらない人間の姿に親近感を覚える。

人権弁護士でありながら、若き日に従軍中の夫を捨て美貌の不倫相手と再婚、子どもたちにも恵まれながら、またも不倫の恋に溺れるヒロインが生き生きとして面白く、意外なラストシーンも可笑しい。意外に読みやすい小説だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年8月20日
読了日 : 2021年8月20日
本棚登録日 : 2020年4月26日

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