“菜々子さん”の戯曲 Nの悲劇と縛られた僕 (角川スニーカー文庫 226-1)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2010年8月31日発売)
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本棚登録 : 232
感想 : 35
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ある事故(事件)をめぐり、主人公と菜々子さんがお互いを疑い合う物語。主人公が、とある強制胡座椅子探偵状態という大変ショッキングな状況で物語が始まる。乱歩の芋虫状態に近いです。最後に真相が明かされるが、ストーリー的には枝葉のように感じた。
事件にまつわる菜々子さん特有の症状をきっかけに、彼女は主人公の前で事件の真犯人について推理を始める。その推理は菜々子さん本人が真犯人でないことを強調するものであった。そこで主人公は菜々子さんがこう思っていることに気づく。「あの事件の真犯人は菜々子さんではないか」と主人公が菜々子さんを疑っていると。主人公は菜々子さんに命をとられまいと、動かない身体を必死に動かして彼女を疑っていないことを示そうとするが……これホラーじゃないかと。
一番印象に残ったシーンは、菜々子さんが本心を隠せないところ。主人公が菜々子さんに事件を起こす動機がなかったことを指摘するのだが、実は動機ありますと長々説明してしまう。自白すれすれみたいな危ない道を歩いてしまうのは、主人公に好意を持っていたことの裏返しだろうか。
Nと主人公の人生がめちゃくちゃになる程の事件だったのに、菜々子さん「小悪魔」だから的な感じで主人公のなかでは真相が闇に葬られます。そこはキャラクター小説だからいいのか?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年10月2日
読了日 : 2017年10月1日
本棚登録日 : 2017年10月1日

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