消費ミニマリズムの倫理と脱資本主義の精神 (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房 (2021年6月17日発売)
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感想 : 11
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爽やかな雰囲気漂う表紙と興味をそそるタイトルに惹かれ手に取った.悪い意味で「タイトル通り」の本である.

数々のミニマリストやそれと同じ精神性を持ち生活を営む人を多数取り上げながら,その姿勢,ミニマリズムが資本主義の束縛から逃れるチャンスであると解く.

この本の特徴的なところはミニマリズムを鳥瞰的に説いているところだ.ミニマリストや関連性が高い領域の活動家による著作を取り上げ,どういう内容でどういうメッセージがあるかを筆者が紹介する.
簡単に言えばミニマリスト本をひたすら紹介する本なのだ.
ミニマリズムってなんだろうかとざっくり・客観性を持って把握するにはいい本だと思える.

ただ,正直この取り組みは面白みに欠ける.
ミニマリスト本の面白いところは書かれた内容がまさに著者の実践,身銭を切った体験から紡ぎ出されているという点で独自性や効果,一般読者が受ける衝撃が担保されているが,それら鳥瞰するこの本には自らが身銭を切るという姿勢を感じない.
そのため導き出される結論やメッセージもせいぜいオリジナルと並ぶか,それを一般化して抽象的にした言い換えたものにしか聞こえない.

この本の中で紹介されているミニマリスト本を何冊か読んだことがあり,それをできる範囲で実践し有効性を感じていた自分からしたら,資本主義(勤労と消費の無限回転)とは異なったオルタナティブな選択,位置づけとしてミニマリズムを強調されても「今更感」が拭えない.

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鳥瞰的

ミニマリスト系の本を何冊か読んだことがある自分にとっては
「今更感」がある.その「今更感」を仰々しい表現で飾って出来上がったのがこの本かなあという印象.
世代的なものもあるかもしれないので昭和の価値観に染まったおじさんみたいな人には新鮮かもしれない.
感覚でわかっていることを上手く言葉にしてくれていとも言える。

資本主義社会における支配的な思想
「よく働き、よく消費しろ」
→息苦しい思いをしてまでこの文化に従う必要はあるのか?


"ミニマリズムの実践が、欲望消費によって駆動される資本主義から降りる企てに接続られるように見える"

現象・理論・精神

日本語のときめき=英語訳でSpark joy(こんまり本)

記号の消費
物質消費から記号の消費

「電通戦略十訓」

「自分へのご褒美」っていつからあった風習?

ビックリマンチョコが売っていたのはチョコでもシールでもなく物語
→と、コルクダブル性?

物質ではなく情報を消費する社会

勤労の美徳と他者の視線を敏感に感じ取りながら営まれる顕示的消費が次第に評価されなくなる

資本主義の倫理は禁欲から創造へシフト
ウェーバーの時代は職業を通じた禁欲生活
現代は創造できるものが資本主義を発展

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年12月22日
読了日 : 2021年12月22日
本棚登録日 : 2021年12月22日

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