「学力」の経済学

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  • ディスカヴァー・トゥエンティワン (2015年6月18日発売)
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教育分野で(老若男女、玄人か素人かを問わず)話題になりやすいことを、教育経済学の観点から先行研究を踏まえて解説している。後半では、ランダム化比較試験の手法がなぜ政策評価に活かすことができるかについて解説している。

本書の中で様々な問題について論じられているが、テーマは一貫して「エビデンスに基づいた教育を」ということである。教育政策の大半は価値観に基づいて決定され、評価方法が検討されることなく(そもそも評価することが不可能な形で)実行されている。そして、第三者が評価することができない形でデータが保管されている。海外の引用がほとんどなのは、日本でこのようなエビデンスに基づいたアプローチという考え方が根付いておらず、発展途上であるからだろう。

Evidence Baced Educationという考え方を普及啓発し、教育の供給側(=教育者・教育行政)や受け手(=保護者・児童生徒)らとのコンセンサスを得て、研究や教育政策を前に進めていくこと。そのためにこの本があるのであろうと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2017年5月13日
読了日 : 2017年5月13日
本棚登録日 : 2017年5月13日

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