魂の燃焼へ

  • イースト・プレス (2015年6月17日発売)
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本棚登録 : 149
感想 : 17
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癖の強い本だ。
アマゾンでもブクログでも読書メーターでも基本的に評価が高い。この理由で読んだ私は執行氏の言う横の人間の1人だろう。いくら読んでもこれほど評価が高い理由が見つからない。

私は思想としてはいわゆる保守に近い。25歳であるが読書も同世代と比べればかなりしてきた。したがって本書の著者の1人執行氏とそれほど思想が離れていない。にもかかわらず、ある種の胡散臭さがぬぐえなかった。

ところどころ良いところはある。例えば神社参拝と読書を重ねて共に問うことであるという部分などは大いに賛同する。不安や心配をせず、もう何事もぶつかるしかないんだということも本質的で同意する。

しかし、宇宙のエネルギーがどうこうとか気持ちが全てだという部分があるのには辟易とした。論理性というものを著者は持っていない。自分は人に嫌われていてしかもそれで良いんだ、自分には利益以上の崇高な魂の燃焼しかないんだと言うが、そのような人が本を出版して、自分のその他の著書を本文で脚注をつけてベストセラーと書くだろうか。

嫌いな生き方ではないし私も世間から見れば彼に近いかもしれない。ただ、彼には幼稚さも伴う。自分が嫌いな思考の人を殺してやりたくなるとか、自分は喧嘩で25000回以上の勝ってきて負けてたことがないとか。成熟している人間だろうかと思う。ヒールであっても魅力がある人はいる。彼は自分をそのような人間と思っているが、私はどうしてもそう思えなかった。自己実現のためにもがている感が出ていて、全否定はしないがこんな大人にはなろうと思わない。

対談本でありしょうがないのかもしれないが、対談相手の清水さんも、執行氏のイエスマンにしか感じられなかった。そうですねと同意しかしない。互いにすごいと褒めあい、正直痛々しい。清水さんは、絶対に自分の本屋にはベストセラーを置かないらしい。でもベストセラーらしい執行氏の本は薦めるという。こうした矛盾が散見される。完成度が低く、自己満足的だ。

賛同するところも大いにあるだけにもったいないのだ。読書家と自称する人によくあるのが、自分がすべて正しいと思い込んでいることであり、執行氏にはこれが当てはまる。清水さんはバランス感覚がありそうだが、本書ではイエスマンになっている。自論で押し切り、経済や政治の難しい問題については、政治家の精神面がおかしいんだという批判に終始する。おそらく理論的に反論ができないのだろうが、その自分の知識の欠陥を精神論で押し隠すのがかっこいい大人でないのだ。

とにかく冒頭に書いたように癖が強い。なぜレビューが高いのかどうしても自分には読み解けなかった。私の能力を完全に超えた内容で、レビュアーの方々も私よりはるかに賢いということでもないだろう。この疑問がどうしても解けない読書だった。いろんな意味で勉強になった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年5月18日
読了日 : 2016年5月18日
本棚登録日 : 2016年5月18日

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