半分も追えていないが、現在活躍中の作家で最も尊敬している高原英理が、なんと川端康成の短篇集を編むという、俺得な企画。
結果、最高。
一作品ごとに読書メモをつけたり、★をつけたりしているが、本書に関してはほぼ全作品★。
もちろん解説も素晴らしい。
小説16篇、随筆3篇。
うち4篇は「掌の小説」より。
私的BGM:「諏訪根自子の芸術」
■心中 ※「掌の小説」収録 ※wisさんの朗読で何度も何度も聞いているが、やはり壮絶。巻頭に置かれるのに最適だし、高原英理の解説も素晴らしい。
■白い満月 ※お夏の異様さに加え、私と上の妹八重子、下の妹静江の挿話も加わって、全員どうかしている。
■地獄 ※幽霊! なのに生臭く生々しく。女を遣り取りするホモソーシャルな会話でもある。
■故郷 ※「掌の小説」収録 ※「掌の小説」収録 ※時間と空間をやすやすと飛び越える自在の小説。小説だからこそ。それをヘリコプタアと表現するあたり、いい。
■離合 ※ゴーストばかりだが、果たしてジェントル、なのか……?
■冬の曲 ※内田百閒でおなじみの宮城道雄が出てくるが少し嬉しい。
■朝雲 ※「新女苑」という雑誌に掲載。本書を「幻想短篇集」としなかったのは、こういう作品を入れるため、みたいだが、その判断素晴らしい。よき百合とまずは簡単に書いてしまうが、こういう小説の語り手の不思議さを考えるための好例だと思う。
■死体紹介人 ※これは凄まじい……川端康成でなければ書けないのではないか……ネクロフィリア……無機質な美しさ……。私が朝木新八の話を聞いている、という枠物語であることが、小説として巧み。
■蛇 ※「掌の小説」収録 ※ちょっと難しいな。
■犬 ※川端、犬を大好きなのに、犬と一緒に撮影されても無表情な写真がいくつもある。犬も女も陶磁器も同じだったんだろう。好きな犬でこんな小説を書くあたり、どうかしとる。
■赤い喪服 ※母子の会話。こりゃ赤痢っていう言葉ありきで書いた思い付きだと思うが、それをこんな形に仕立てるとは。
■毛眼鏡の歌 ※やや難しいが、エモい話だとは思う。
■弓浦市 ※実在しない町という意味で、ちょっとしたネットジャーゴンになっている、のか? いつかどこかでだれかのトラウマになり得る小説を送り出した作家。
■めずらしい人 ※「掌の小説」収録 ※編者が解説で「いたたまれない異物感」を書いているが、確かに。血縁近しく身近で親しみも持っているのに、どうしても判らないことって、ある。
■無言 ※タクシーで乗り合わせる幽霊というありがちな話を取り込む貪欲さ。と、脳障害者へ書けばいいのにという非道さ。
■たまゆら ※死者を前に物品を遣り取りすることの、残酷さと美しさ。
■恋情(以下、随筆)
■二黒
■眠り薬
◇解説
- 感想投稿日 : 2022年9月27日
- 読了日 : 2022年9月27日
- 本棚登録日 : 2022年7月2日
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