NかMか (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 早川書房 (2004年4月16日発売)
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本棚登録 : 614
感想 : 61
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1941年 原題”N or M?”
『秘密機関』の若かったトミー&タペンスは時を経て今や中年夫婦。あまり顔を知られていないという理由から戦争のスパイを探る極秘の任務に指名され秘密裡に動き出すことに。

ちょうど第二次世界大戦が始まった頃。文中からもイギリスとドイツとの緊迫した関係がひしひしと感じられますが、クリスティーはどんな心境だったんでしょうね。

自国にも敵に協力する人々がいる。
その状況をグラントに語らせる。
「そいつ(敵国)は人間の内なるなにか、力への欲望ないし願望といったものに働きかけてくる。彼らが唯々諾々と祖国を裏切ることに同意するのは、金銭のためじゃない。一種の誇大妄想的な自負—この自分が、自分たちだけが、祖国の名を挙げ、世界に覇を唱えることができる、という自負からなのだ。どこの国でも、いつの時代でも、これは変わらない」
クリスティーは、戦争という異常な状況が生み出すその怖さを冷静に見ていたのかもしれません。

年齢は重ねても、トミーの実直さ、いざという時の判断力、タペンスの機敏な行動力、聡明さは変わらず。やっぱり最後まで悪者見抜けず、存分に楽しませてもらいました!

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月24日
読了日 : 2022年12月24日
本棚登録日 : 2022年12月24日

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