探偵チームKZ事件ノート 切られたページは知っている (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社 (2011年4月12日発売)
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本棚登録 : 498
感想 : 17
3

▼藤本ひとみさん/住滝良さん、の、「名探偵KZ(かっず)シリーズ」第2弾。小3の娘がむさぼり読んでいるので親バカ心配性で確認読破。

▼「それぞれ性格に問題があるが、みんなイケメンで秀才で勝ち組で、煎じ詰めれば善良である男子四人組」と「偶然その四人と塾で特殊クラス(5人しかいない)で一緒になった、そこそこしか勉強も出来ず、特段の美人でもなく、友達作りも上手く行かないコンプレックスだらけの主人公女子」という、男4:女1のグループが、まず出来ていて、なんだか良く分からないけど「俺たちはこのグループで仲間だから」と、周辺で起きる事件に「少年少女探偵団」として挑みながら、仲良くなっていく・・・・という基礎設定で。

 ここまでで十分、「つまり、女子主人公にとって実に都合の良い設定であるな」という、これは批判では無く称賛です。

▼話は女子主人公(アーヤ)の一人称で、この心理描写が、特に、事件の段取りについて以外の、基本的なグループの人間関係についての心理描写がいちばんの見せ所です。

「特段の撮り得が無い、面白いことが起こらない自分の人生。友人関係も不安ばかり。なんだけど、こんな素敵な仲間が出来た。この仲間を大切にしたい。この関係をずっと続けたい」

という基本ベースがあり、

「あ、今、わたし、嫌われたのかも・・・・」

「あ、今、わたし、邪魔者扱いされたかも・・・」

「あ、わたし、役に立ってない・・・」

みたいな不安と戦いながら、事件に挑み、

「あ・・・今わたし、女の子扱い(ヒロイン扱い)された(嬉しい!)」

「ひょっとして〇〇君、私のことが好きなの!!??」

みたいなことが織り交ぜられる、というメニューです。

(あとそこに、小6設定なので、中学受験への恍惚と不安が綴られて、それはそれでけっこうザラっとしたら肌触り)


▼というわけで、事件そのものは道具なんですが、もちろんそれはそれで大事。

今回は、けっこうハードで、

【結婚に失敗した中産階級の若い女性が、気鬱になり、幸福そうな隣家の赤ちゃんを誘拐した】

という事件を解決。でもそっちの方の人間模様に、ぐぐぐっと入っていったりは、全くしません。(まあ、名探偵たちがみんな小6だからな・・・)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本:お楽しみ
感想投稿日 : 2023年10月21日
読了日 : 2023年10月18日
本棚登録日 : 2023年10月18日

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