▼藤本ひとみさん/住滝良さん、の、「名探偵KZ(かっず)シリーズ」第2弾。小3の娘がむさぼり読んでいるので親バカ心配性で確認読破。
▼「それぞれ性格に問題があるが、みんなイケメンで秀才で勝ち組で、煎じ詰めれば善良である男子四人組」と「偶然その四人と塾で特殊クラス(5人しかいない)で一緒になった、そこそこしか勉強も出来ず、特段の美人でもなく、友達作りも上手く行かないコンプレックスだらけの主人公女子」という、男4:女1のグループが、まず出来ていて、なんだか良く分からないけど「俺たちはこのグループで仲間だから」と、周辺で起きる事件に「少年少女探偵団」として挑みながら、仲良くなっていく・・・・という基礎設定で。
ここまでで十分、「つまり、女子主人公にとって実に都合の良い設定であるな」という、これは批判では無く称賛です。
▼話は女子主人公(アーヤ)の一人称で、この心理描写が、特に、事件の段取りについて以外の、基本的なグループの人間関係についての心理描写がいちばんの見せ所です。
「特段の撮り得が無い、面白いことが起こらない自分の人生。友人関係も不安ばかり。なんだけど、こんな素敵な仲間が出来た。この仲間を大切にしたい。この関係をずっと続けたい」
という基本ベースがあり、
「あ、今、わたし、嫌われたのかも・・・・」
「あ、今、わたし、邪魔者扱いされたかも・・・」
「あ、わたし、役に立ってない・・・」
みたいな不安と戦いながら、事件に挑み、
「あ・・・今わたし、女の子扱い(ヒロイン扱い)された(嬉しい!)」
「ひょっとして〇〇君、私のことが好きなの!!??」
みたいなことが織り交ぜられる、というメニューです。
(あとそこに、小6設定なので、中学受験への恍惚と不安が綴られて、それはそれでけっこうザラっとしたら肌触り)
▼というわけで、事件そのものは道具なんですが、もちろんそれはそれで大事。
今回は、けっこうハードで、
【結婚に失敗した中産階級の若い女性が、気鬱になり、幸福そうな隣家の赤ちゃんを誘拐した】
という事件を解決。でもそっちの方の人間模様に、ぐぐぐっと入っていったりは、全くしません。(まあ、名探偵たちがみんな小6だからな・・・)
- 感想投稿日 : 2023年10月21日
- 読了日 : 2023年10月18日
- 本棚登録日 : 2023年10月18日
みんなの感想をみる