飛鳥時代、壬申の乱前後に宮人として生きた額田王の半生を描いた長編小説。
額田王といえば万葉の歌人、その昔大学で万葉集を専門に学んだ私にとっては、歌の詠まれた背景も含めなかなか興味深い作品だった。
人物関係が複雑なため、何度も略系図を見ながら読む。ちょうど読了時に作者のインタビュー記事が新聞に出ていたのだが、主人公についての資料は少ないため、色覚異常という設定を創作したそうだ。先天的な体の不具合を原動力とし、妻であることよりも宮人として生きるたくましさを強調しているところが新鮮。
読後に少し歴史をおさらいし、残された人々のその後を調べてみた。そして、あの讃良王女が後の持統天皇だったことを思い出し、改めて怖さを思い知った。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
さ行
- 感想投稿日 : 2022年9月2日
- 読了日 : 2022年9月1日
- 本棚登録日 : 2022年8月20日
みんなの感想をみる