「失敗の本質」の概要を解説した本。太平洋戦争における日本軍の失敗を分析することによって、組織や日本人の考え方や行動を論じ、現代のビジネスなどの組織分析も行っている。何よりも、ポイントをまとめる形で読みやすいのがありがたい。
経験則による成功法則では、適用すべき範囲を判断することが難しく、結果として過去の成功事例の教条主義に陥りやすい。
マイクロソフトは、ソフトの互換性とネットワーク効果(同じソフトを使用しているパソコンが多いほど、そのソフトの価値が増していく)の指標を発見し、使いこなしたことが最大の成功要因。
日本人は、型を反復練習することによって技能を獲得する「練磨」の文化と精神を持ち、大きなブレイク・スルーを生みだすことよりも、ひとつのアイデアの洗練に適している。そのため、日本企業は製品サイクルの成長後期以後で強みを発揮する。
プロセス改善はスタートラインとなる思想や手法を同じままに、過程を最大限改善することで、努力至上主義や精神論と大変結びつきやすい。
組織が勝利の本質ではなく「型」を伝承している場合、型を伝承している大多数は、新戦略やイノベーションを発見した少数派を排除しようとする意識を持つ。
日本人は、同じことを繰り返してそれを洗練させることに長けている。それは日本人が誇ることができる点であり、「日本すごい」と酔心させる面でもある。しかし、型を重視する態度は、前例や過去の成功体験を踏襲し続け、状況の変化に迅速に対応できないばかりか、内部の変革の動きに対して強い反発を示すことがある。日本人はこうした特性を持っていることを自覚しなければ、状況の変化への対応は常に後塵を拝することになってしまう。
- 感想投稿日 : 2021年4月4日
- 読了日 : 2021年4月3日
- 本棚登録日 : 2021年4月4日
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